ハチミツとクローバー。ちょっと読む機会があったので、一気読みした。

2000年に描き始められ、2006年に完結した。作者の羽海野チカ先生は現在、3月のライオンを連載中である。3月のライオンは、2016年の秋、すなわち、今秋にアニメ化するのが楽しみだ。

さて、ハチミツとクローバーの話である。通称、ハチクロと略される当作品は、一言でいえば美大生たちの甘酸っぱい青春を描いた作品といえる。恋愛あり、自分とは何か、生きるとは何か、愛するとは何か。そんなこっ恥ずかしくなるようなテーマを存分に考えさせてくれる。というか、登場人物たちが悩み苦しみ藻掻いて暴れてくれている。

登場人物すべてが主人公であり、え?このキャラもストーリーの主軸に絡んでくるの?ていうか、主軸ってナニ?どの物語を追いかければいいの?と言いたくなるほど、複雑に絡み合った人間交差点。だが、面白楽しく描かれているので、さっぱりと読めてしまうのがスゴイの一言。

いやだって、四角関係と四角、いや五角関係?六角関係まで生きそうな勢いの恋愛があっちこっとで勃発しているんです。なのに、読みやすい。羽海野チカ先生の才能にひたすら嫉妬したくなるほどの分かりやすさは一読の価値あり。これだけぐちゃぐちゃの混ぜこぜになっているというのに、一切ドロドロしていない。だから、安心して万人にオススメしたくなる。というか、青春とLOVEを楽しみたい人はまずハチクロを読むべきである。

魅力的な登場人物しかいない作品であり、どの作品に己を重ねるかで作品の味わいががらりと変わってしまう。ここからはすでに読んだ人向けの話になってしまうのだが、ぼく個人としては森田忍が一番気に入った。

森田忍は天才肌の非常識人間で、金稼ぎを人生至高の目標としている人間だ。破天荒で、他人の都合をおかまいなく、ものを奪い時間を奪い、傍若無人に暴れまわる。それでいて、真面目モードに入ったときは格好良さが半端無く、メインヒロインともいえる花本はぐみとも最も恋をする男(奇妙な表現であるがこれが最もしっくりくる)である。

才覚だけで世界を渡り歩いていく様は、ひとりの男として憧れる。また、完全自分本位な生き様もまた、一人の男として憧れる。多くの人の怒りと恨みを買いながらも、どこか愛されてしまうキャラクターは、他の作品ではなかなか見ない珍獣っぷりである。

誰にも通じない話かもしれないが、キャラクターの立ち位置としては、めぞん一刻の四谷さんや、魔術士オーフェン無謀編の執事キースのようなキャラクターなのだ。いわゆるギャグキャラの立ち位置なのである。であるにも関わらず、メインラブストーリーの主役的立ち位置でもあるのだから、この配置は神の配置としか言いようが無い。

いや、だって、四谷さんが響子さんと恋をして五代くんと鞘当するなんて思いもよらないよね。わかるひとだけわかってくれればいいけど、そういう風にぼくには感じた。それを成立させるだけの、恋愛もの主役としての魅力がきっちり描き込まれているのが、森田忍なのだ。それでいて、作品のお笑い担当としても成立しているのが森田忍なのだ。もう、ぼくのなかの主役は森田忍でしかない。異論は認める。

もちろん、当初、こいつが主役なのかな?と思わせる語り部である竹本祐太もかなり好きではある。自分探しの旅を終えたあとの覚醒・竹本は見ものである。ほうら、気になってきただろう。ネットカフェでハチクロを読みたくなってきただろう。

メインラブストーリーは芸大生たちの恋模様だが、大人になりきれない、背伸び系男子・真山巧をめぐる、大人な恋愛ストーリー。こちらも良い。いや、本当に、ドキドキする。エロティックな楽しさがこちらにはある。

では、そちらについてもダラダラと書き連ねていってみようかとおもうのであるが……、キリがないのでやめておこう。気になるひとは、マンガを買って読むべし読むべし。アニメもあるので、お好みでどうぞ。

アニメで、竹本がじぶんさがしの旅で出会う寺修復チームの少年・六太郎は浪川大輔さんが演じているので、マンガを読んだらアニメを見るのもあり。逆でもよし。原作再現度は高いけど、収録されていないエピソードもあるので、マンガが先の方がいいかなーと思ったり思わなかったり。

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