ほんのりと甘い。自然の甘さを感じる。シラカバは樹液、トドマツは香り。このシラカバの飴は本当にいつまでも舐めていたいなーと感じる甘さだった。懐かしい。この味、懐かしい。よくよく考えると、ぼくは幼少期の頃、花の蜜を吸うのが好きだった。

飯は食わない。食えない。少食も小食で、豆腐をおかずにご飯を食べた。一膳すべてを食べられないほど。代わりに、甘いモノが好きだったような気がする。甘いモノどころか、砂糖をガツガツと食べていた。ある家にお泊りする時、ドラム缶イッパイに入った砂糖を食べていたら、超絶に驚かれたこともあった。

そらそうだな。そんなガキが今目の前にいたら、妖怪だ。アブラを盗んで舐める轆轤首や猫又との違いがわからない。庭にあるツツジの花を全部もいで食べてしまったんだから、完全に妖怪だったのかもしれない…。妖怪だったんだろう。

その頃を想起する。樹液の甘さが、水飴と混ざったこの甘さが、あの頃を呼び起こす。あんまり、思い出したくない記憶ではあるけども。眠れば悪夢だらけだった。そういえば、今日も悪夢を見た。ぼくは、あの頃に近づいているのかもしれない。

あんまり、やだなァ。トモダチ、ふたりしかいなかった、あの頃に戻るのは。

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